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ハードウェアウォレットにデメリットはない?壊れたらどうなる?

ハードウェアウォレットにデメリットはない?壊れたらどうなる?

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update 2024.12.02 16:07
ハードウェアウォレットにデメリットはない?壊れたらどうなる?

update 2024.12.02 16:07

ハードウェアウォレットはウォレットの一種で、仮想通貨(暗号資産)の秘密鍵をインターネットから隔離された環境で保管できます。

2022年11月、大手取引所FTXの破綻をきっかけに、CEX(中央集権型取引所)の安全性への疑念が高まっています。大手取引所でさえ安全性を確保できないと分かった今、仮想通貨コミュニティではハードウェアウォレットの利用が推奨されています。

しかし、ハードウェアウォレットにデメリットはないのでしょうか。また、壊れたらどうなるのでしょうか。当記事では、ハードウェアウォレットの仕組みから、メリット・デメリット、よくある疑問について解説していきます。

ハードウェアウォレットとは

ハードウェアウォレットは、秘密鍵の安全な管理のために利用されるハードウェアデバイスです。仮想通貨自体が中に入っているわけではありません。

一般的にUSBタイプのものが人気となっています。USBタイプのハードウェアウォレットは、パソコンのUSBポートに差し込むだけで利用可能であり、セキュリティ向上を求める幅広い層のユーザーに重宝されています。

point 秘密鍵とは

秘密鍵はウォレットの所有者が管理する暗号鍵で、仮想通貨の送金の際に必要となります。秘密鍵が他人に知られてしまうと、仮想通貨が不正に流出してしまう可能性があります。

point メインの保管場所を別途確保

秘密鍵はハードウェアウォレットで保管できますが、シードフレーズを別途書き留めておきます。こうすることで、ハードウェアウォレットが故障しても自分の仮想通貨にアクセスできます。

仕組み

ハードウェアウォレットはUSBメモリなどの形態であり、インターネットに接続されていません。そのため、ハードウェアウォレット単体では仮想通貨の送金等を行えず、インターネットに接続されたパソコンとあわせて利用します。

秘密鍵とウォレットアプリの関係

使い方

ハードウェアウォレットで送金や分散型アプリ(Dapps)の利用を行うには、基本的に以下のように操作します。

  1. デバイスをパソコンのUSBポートに差し込む
  2. 専用のウォレットアプリを開いて接続する
  3. 資金の確認や送金、Dappsへの接続等を行う
  4. デバイスのボタンを操作して署名を行う
  5. 操作が終わったら、デバイスをPCから抜く

デバイスを差し込んだり専用のアプリを利用したりする必要はありますが、送金やDapp利用時に必要な操作はメタマスク利用時とあまり変わりません。

なお、利用開始前に、ウォレットアプリのアカウント開設や、PINコード(パスワード)やバックアップの設定などがあります。しかし、ハードウェアウォレットによってはインストーラーやチュートリアルが用意されているので、特別難しいことはありません。

ハードウェアウォレットの需要が拡大

仮想通貨市場ではハッキングや詐欺が日常的に発生しています。CEX(中央集権型取引所)は特に大規模な顧客資産を取り扱うため標的にされやすく、過去に幾度となく被害を受けています。

被害を受けたら補償される可能性もありますが、手元に戻らないケースもあります。大手取引所だったFTXは、2022年11月に米連邦破産法11条(チャプター11)に基づく破産申請を行っており、手持ち資金が乏しいため顧客資産の償還が難しくなっています。

point FTXの破産騒動

FTXはハイリスクな経営を行っており、手持ち資金が枯渇して顧客資産を払い出せない状況に陥りました。競合のBinanceが買収による救済を模索しましたが、結局失敗に終わっています。この影響は仮想通貨市場全体に波及しており、CEXの信頼が揺らいでいます。

FTX Japanは金融庁の規制下にあり顧客資産は守られていますが、2022年11月時点で出金は停止されたままです。

この事態を受けて仮想通貨コミュニティでは、資金を分散型ウォレットやハードウェアウォレットに移動させることが推奨され始めました。その中でも安全性を追求するユーザーは、ハードウェアウォレットを選択しています。

ハードウェアウォレットのメリット

ハードウェアウォレットの主要なメリットは、以下のとおりです。

  • コールドウォレットで管理できる
  • バックアップや同期ができる

コールドウォレットで管理できる

海外のCEX(中央集権型取引所)の中には、顧客資産をまとめてホットウォレットで管理している例があります。ホットウォレットとはインターネットに接続されているウォレットで、送金が迅速に行える反面、ハッキングの対象となる危険性があります。過去には、数多くのCEXがハッキングの被害を受けてきました。

一方、ハードウェアウォレットは、パソコンのUSBポートから引き抜けばインターネット環境から隔離されてオフラインとなります。このようなウォレットを、ホットウォレットに対してコールドウォレットと呼びます。

コールドウォレットはインターネットに接続されていないので、遠隔でのハッキングは困難です。CEXのウォレットと比較して安全度が高いです。

バックアップや同期ができる

ハードウェアウォレットには、メタマスクなどの分散型ウォレットと同じく、シードフレーズが用意されています。

シードフレーズの説明画像
point シードフレーズとは

シードフレーズとはランダムに生成された複数の単語の羅列で、リカバリーフレーズとも呼ばれます。ひとたび発行されると変更されることはなく、ウォレットを復元したり、異なるデバイスのウォレットと同期したりする際に利用します。

シードフレーズさえあれば、ウォレットのデータをバックアップしたり、他のデバイスからウォレットを同期することも可能です。壊れたり紛失したりしても、シードフレーズが無事であれば、資産へのアクセス環境を取り戻せます。

CEXのウォレットは、サービスが終了したりアクセスが遮断されたりすると利用できなくなりますが、ハードウェアウォレットは第三者の環境に依存することなく利用可能です。

ハードウェアウォレットのデメリット

安全性の高いハードウェアウォレットですが、デメリットも存在します。

  • 物理的な管理が必要になる
  • アクセス不可となる恐れもある
  • 操作にやや手間がかかる
  • 数万円の購入コストがかかる
  • 中古品を購入すると詐欺に遭う恐れがある

物理的な管理が必要になる

ハードウェアウォレットは物理的なデバイスなので、その管理が必要になります。もし、ハードウェアウォレットを紛失してしまえば、そこに保管している仮想通貨を抜き出される可能性もあります。PINコードでのロックがかかっていますが、セキュリティとしては十分ではありません。

紛失したり盗まれたりしないよう注意することが必要です。

アクセスできなくなる危険性も

CEX(中央集権型取引所)であれば、パスワードを忘れてもサポートに問い合わせれば、再度ログインしてウォレットにアクセス可能です。

一方、ハードウェアウォレットは全て自分だけで管理します。PINコードを忘れてしまっても、シードフレーズがあればウォレットを復元できますが、それさえ失ってしまうと、秘密鍵に永久にアクセスできません。すなわち、ウォレット内の仮想通貨を移動できなくなります。

操作にやや手間がかかる

ハードウェアウォレットを利用する際は、メタマスクなどのウォレット利用時よりも手間がかかります。

まず、ハードウェアウォレットのデバイスをパソコンに接続しなければいけません。分散型アプリ(Dapps)接続時や接続後の署名は、デバイスについているボタン等で操作する必要があります。一方、メタマスクの場合は、パソコンを立ち上げればすぐに使えます。また、署名もパソコン画面で行えます。

大幅に操作が大変になるということはありません。また、慣れてしまえば大きな問題にはならないと考えられますが、ハードウェアウォレットの利用にはやや手間がかかります。

数万円の購入コストがかかる

購入時に数万円のコストがかかる点もハードウェアウォレットのデメリットです。メタマスクやトラストウォレットなら、無料で入手できます。

ただし、ハードウェアウォレットを利用すれば、資産を盗み取られるリスクを下げられますので、数万円を払う価値があると感じる人は少なくありません。

中古品を購入すると詐欺に遭う恐れがある

ハードウェアウォレット自体のデメリットではありませんが、Amazonなどで中古品を購入すると、資産を抜き取られる恐れがあります。

悪意のある販売者は、ハードウェアウォレットを購入してシードフレーズを記録します。それから、そのハードウェアウォレットを販売サイトで売り出します。そして、そのハードウェアウォレットが売れて利用されると、悪意のある販売者はハードウェアウォレットにアクセスして購入者の資産を盗み出すのです。

ハードウェアウォレットを購入するなら、公式サイトや正規販売店から購入しましょう。

ハードウェアウォレットのメーカー

ハードウェアウォレットは、信頼できるブランドでの購入が推奨されています。現在、仮想通貨市場では、「Ledger」と「Trezor」が2大勢力となっています。

Ledger(レジャー)

Ledgerは、フランスに本拠を置くLedger社が開発するハードウェアウォレットで、Ledger Nanoシリーズ製品が人気です。ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)を中心に、5,500種類以上の仮想通貨に対応しています。

専用のウォレットアプリからは、仮想通貨の管理だけでなく、DeFi(分散型金融)関連サービスを利用したりスワップ(取引)したりできます。

Trezor(トレザー)

Trezorのハードウェアウォレットは、1,000種類を超える仮想通貨に対応しています。特に、ビットコインキャッシュ(BCH)やライトコイン(LTC)などのビットコイン系の仮想通貨に手厚く対応しているのが特徴的です。

ウォレットアプリ「TRESOR Bridge」は、ウォレット機能以外にも、手数料無料で利用できる取引・送金機能などを備えています。

よくある疑問

ハードウェアウォレットを使いこなすには、最低限の知識が必要です。そこで、仮想通貨コミュニティでよく見かける疑問とそれに対する回答を紹介していきます。

製造会社が倒産したらどうなる?

ハードウェアウォレットは、対応するウォレットアプリに接続することで利用可能となります。LedgerであればLedger Live、TresorであればTRESOR Bridgeが専用アプリとして提供されています。

たとえ、製造会社が倒産してこれらのウォレットアプリが使用不可能になったとしても、ほかのウォレットサービスに移行できます。ハードウェアウォレットは他のウォレットと互換性があるので、シードフレーズさえあれば、中身を復元可能です。

ただし、ウォレットによって対応する仮想通貨が異なるので、移行できない仮想通貨があるかもしれません。

壊れても仮想通貨は大丈夫?

ハードウェアウォレット内に格納されているのは、秘密鍵であって仮想通貨そのものではありません。

従って、ハードウェアウォレットが壊れても保有仮想通貨には何の影響もありません。ただし、破損により秘密鍵へのアクセスを失った場合は、シードフレーズを用いてウォレットを復元する必要があります。

NFTにも対応可能?

ハードウェアウォレットはNFTにも対応しています。

point NFTとは

NFTとは日本語で「非代替性トークン」と訳すことができます。現在、NFTはゲームアイテムやデジタルアートなどのコンテンツをトークン化する手段として利用されています。これらのNFTはマーケットプレイスで取引可能なことから、投資対象としても注目されています。

NFTは通常の仮想通貨と同じく、秘密鍵で送金が可能です。例えば、Ledger社のLedger Nanoであれば、専用のアプリを通じてNFTを鑑賞することもできます。

メタマスクとの連携

メタマスクは、最も広く利用されている分散型ウォレットで、LedgerとTrezor両方のハードウェアウォレットと連携可能です。メタマスクはDApp(分散型アプリ)の利用などで重宝されており、ホットウォレットですからハッキングリスクがあるものの、ハードウェアウォレットと組み合わせてセキュリティ水準を向上できます。

また、これらのハードウェアウォレットは、多数の分散型ウォレットと互換性があります。

シードフレーズの保管方法

シードフレーズは、ハードウェアウォレットを管理する上で最も重要なものです。絶対に紛失したり、漏洩してはいけません。

通常であれば、紙に書いて金庫に保管したり、インターネットに接続していないカメラで写真を撮ったりします。より堅固な方法を望むのであれば、鉄板にアルファベットを打ち込んで保管する方法もあります。

いずれにせよ、スマートフォンのメモ帳やパソコンのハードディスクなど、インターネットに接続できる環境は利用すべきではありません。

また、厳重に保管するのと同時に、自分が亡くなった後に備えて遺族に何らかの方法でシードフレーズ等を伝える必要があります。でないと、遺族は仮想通貨にアクセスできなくなります。

セキュリティ対策は万全に

経営破綻前のFTXは、仮想通貨市場でBinanceに次ぐ規模の取引所でした。安全性は高いとみなされていましたが経営破綻に至っており、仮想通貨コミュニティに大きな衝撃を与えました。中には、数億円規模で資産を失ったユーザーが存在するようです。

FTXの騒動以来、セキュリティ意識が以前にも増して高まっており、ハードウェアウォレットは最適解のひとつだといえるでしょう。仮想通貨に投資するのであれば、ハードウェアウォレット導入を検討してみるのも良いかもしれません。


Date

作成日

2022.11.24

Update

最終更新

2024.12.02

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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