作成日
:2025.11.03


2025.11.03 08:01
先週末の海外市場でドル円は、NY時間に限れば154.00円を挟んだ狭いレンジ取引に終始した。米国と日本の金融イベントを通過し、新規材料に乏しく様子見ムードが広がった。ユーロドルはユーロクロスの下落をきっかけにユーロ売り・ドル買いが先行すると、前日の安値1.1547ドルを下抜けて一時1.1522ドルと約3カ月ぶりの安値を更新した。
本日のアジア時間でのドル円も、「高市トレード」の影響が引き続き下値の支えとなるだろう。一方、円安による輸入インフレ高進を懸念した本邦当局の口先介入や、米経済の先行き不安などが上値の重しとなりそうだ。
一部の調査では8割を超える高支持率を確保している高市政権だが、今週は明日から始まる国会での各党の代表質問等が市場を左右しそうだ。中でも市場が注目しているのが、高市首相が掲げる「責任ある積極財政」の「責任」部分。与野党間で合意に向けて進んでいるガソリン減税以外は、期待感は高いものの財源獲得にはハードルが高く、どのような手を打ってくるのかが注目される。
先週31日には城内成長戦略相が、「高市首相は債務残高のGDP比引き下げを検討している」ことを明らかにし、国債の増発も排除しないことが伝わった。「GDP比引き下げ」「国債の増発」が「責任ある」財政となるかの不安要素があるが、これらが進む場合は純債務増加を懸念し、更に円安が進む可能性がある。
しかしながら先週末には、片山財務相が円安けん制と受けとめられる発言をしたことで、これ以上の円安進行は本邦通貨当局から懸念を呈する声が増えてくるだろう。今年の3月のインタビューで同財務相は、円安による輸入インフレを懸念し、ドル円の適正水準は120円程度が望ましいと発言していた。しかし、いざ財務相に就任すると、円安が与える物価上昇の悪影響を失念したようだ。
日米財務相会談後には、米国側から「為替レートの過度な変動を防ぐ上で、健全な金融政策の策定とコミュニケーションが果たす重要な役割を強調した」と、円安の流れを止める絶好のチャンスボールが渡された。それにもかかわらず、片山氏は米国側を気にしすぎたのか、会議の内容を失念したのか定かではないが、為替については議論をしなかったと記者に答えてしまった。
ただ、昨日黒田前日銀総裁がドル円は120円に向かう可能性を示唆したように、識者の中では「米国もドル高による貿易不均衡拡大を懸念」が指摘されている。しかし、円安けん制が先週末程度で終わる場合は、今月には年初来高値の158円後半まで円安が進む可能性もありそうだ。
一方で米国サイドからは、米経済への不安と不満を表す声が徐々に増えてきた。10月下旬の直近のNBCニュースの調査では、トランプ政権によるインフレと生活費に関して、回答者の66%が「裏切られた」とし、また63%が「政権の経済対策が期待外れ」と答えている。経済的にも大きな影響を与える「米国の一部政府機関の閉鎖」が継続されていることもあり、ドルを積極的に買い上げる材料は薄いままだ。
さらに、明日4日にはカリフォルニア州、ニューヨーク州、バージニア州、ニュージャージー州などでは知事選や市長選などが行われる。来年の中間選挙を前に、選挙結果次第ではトランプ政権の経済政策への影響を与えることもありそうだ。
なお、本日の経済指標は豪州から住宅建設許可件数、中国からCaixin製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表される。
(松井)
DZHフィナンシャルリサーチ提供: 2025.11.03
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作成日
:2025.11.03
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最終更新
:2025.11.03
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