作成日
:2025.10.08
2025.10.08 14:19
最近、SNS上では「これって本物なの?」と疑いたくなるような著名人が投資を勧める動画広告が出回っています。
実際、ディープフェイク技術を使った詐欺広告が世界的に増加しており、国内でも有名人を装った広告が出回っています。これらの広告の中には精巧に作られたものもあり、違和感に気づけないケースもあるため、真偽を見抜くのは容易ではありません。
本記事では、出回っているディープフェイク動画の広告主を調査したほか、詐欺広告を見分けるポイントなどを説明します。
最近、SNS上ではYouTubeなどで有名人が登場する動画広告を見たという投稿が相次いでいます。堀江貴文氏や前澤友作氏、テスタ氏といった著名人が投資を勧める内容が中心で、一見すると本物のインタビューや対談のように見えるのが特徴です。
画像引用:x.com
中にはイントネーションが不自然で「偽物だ」とすぐに気づけるものもありますが、映像だけでは本人と見分けがつかないほど精巧なディープフェイク動画も出回っています。最終的にLINEグループへ誘導され、そこで投資話が持ちかけられるケースが報告されています。
ネット上では「内容に違和感だらけ」という声も多く、本人が「自分は関与していない」と否定するケースも見られます。現時点ではSNS上での被害報告は見当たらず、注意喚起の投稿が多い印象ですが、拡散の速さと巧妙さから警戒すべき状況にあるといえるでしょう。
こうした広告がすべて同じ企業によるものかは定かではありませんが、その一部は「ベターメント(Betterment)株式会社」という企業によって出稿されたことが確認されています。
画像引用:ベターメント株式会社サイト
同社の公式サイトには「AIを活用した投資サービスを提供している」との説明があります。サイト上に具体的なサービス名は記載されていません。しかし、「BMT MAX」というサービスの勧誘を受けたユーザーがネット上に投稿した報告に対して、同サービスの運営者がベターメント株式会社であったとの情報も寄せられています。
しかし、そのBMT MAXの公式サイトにアクセスすると、現在は403エラー(管理者による閲覧禁止)となっており、閲覧できない状態です。BMT MAXのアプリも存在しますが、開発者はベターメント株式会社ではなく、「Verified tlc」になっています。
ベターメント株式会社については、登記や代表者情報に怪しい点がいくつか見られます。
ベターメントのサイトには会社の所在地として米国ニューヨーク市の住所が記載されているほか、証明書とされる書類も掲載されています。公式サイトの情報によると会社の設立は2008年とされています。
しかし、書類に記載されている「BETTERMENT GLOBAL LIMITED」の登記情報をニューヨーク州サイトで検索すると、登録が2025年6月19日となっており、ベターメント公式サイトの情報と矛盾しています。社名に「BETTERMENT」を含むニューヨークの会社は複数ヒットしましたが、2008年に登録された法人は見つかりませんでした。
代表取締役とされる稲木義盛氏についても、公式サイト以外に情報は確認できず、SNSアカウントなどは見つかっていません。Yahoo!知恵袋には同氏を名乗るLINEグループで投資を勧誘されたという投稿もあり、典型的なSNS詐欺の手口に似ています。
画像引用:Yahoo!知恵袋の投稿
さらに、BMT MAXと金融庁が提携したとする「Yahoo!ニュース風」の記事も出回っていますが、実際には本物の「https://news.yahoo.co.jp/」とは異なる「https://yahoojp.yahoono.com/」という偽ドメインが使用されています。
画像引用:https://yahoojp.yahoono.com/
また、断定はできませんが、記事に掲載されている画像を、改ざん検出に用いられるエラーレベル分析にかけると、稲木氏と左の女性の顔やデスクネームプレートに合成の痕跡(白い部分)らしきものも確認できます。
そのほか、アプリの開発者とされるVerified tlcは、詐欺との関わりが指摘されている事業者です。これらを総合すると、同社の信頼性には大きな疑問が残るといえるでしょう。
RESEMBLE.AIの調査によるとディープフェイクによる世界的な被害額は、2025年第一四半期だけで約290億円に達したとされています。こうした被害は世界的に増加傾向にあり、McAfeeによると北米では前年比で約17倍に急増したとされています。
国内も例外ではなく、2024年には堀江氏を装った詐欺広告で約5,200万円がだまし取られる事件が発生しました。警視庁の発表ではSNSを悪用した投資詐欺の被害額は2025年7月の1か月間だけで約113億円に達しており、誰もが被害者になり得る状況にあるといえるでしょう。
ディープフェイク広告を放置するプラットフォームに対しても批判が高まっています。
堀江氏や前澤氏は、Facebookなどを運営するメタ社に自身の知名度を悪用した広告の削除を求めましたが、十分な対応が取られなかったと訴えています。そのほか国内では、29人の個人と1法人が詐欺広告を放置したとしてメタ社を提訴するなど、改善を求める動きが見られます。
SNS上でも「なぜ削除されないのか」「このまま放置して良いのか」といった声が多く見られ、プラットフォームの責任を問う声も増加しています。
怪しい動画広告を見かけたら以下の点をチェックしましょう。
動画に不自然なイントネーションや簡単な漢字の読み間違いがないか確認しましょう。明らかに違和感がある場合は、偽物の可能性が高いといえます。また、詐欺広告では「必ず儲かる」「短期間で高リターン」といった表現が使われることが多く、現実離れしたパフォーマンスをアピールしている広告は警戒すべきでしょう。
事業者が実在するかどうかチェックすることも重要です。国内の企業であれば、国税庁の法人番号公表サイトで検索することで所在地や法人番号を確認できます。
そのほか、被害報告が出ていないか、アプリやサービスに関するレビューや評判を調べるのも効果的です。こうした基本的なチェックを重ねることで、ディープフェイク広告に騙されるリスクを減らすことができるでしょう。
ディープフェイク技術の進歩により、SNSを悪用した詐欺広告は年々巧妙化しています。映像や音声が本人そっくりに作られている場合も多く、広告の内容だけで真偽を判断するのは危険になりつつあります。
海外FX業界でも度々詐欺事件が発生しています。こういった詐欺業者の拠点は国外にあることが多く、一度資金を騙し取られると回収は非常に困難です。
特に有名人が投資を勧める広告を目にしたときは、安易に信じるのではなく、まずは疑うべきです。少しでも違和感を覚えたらクリックせず、情報の裏付けを取ることが、被害を避ける最も確実な方法といえるでしょう。
作成日
:2025.10.08
最終更新
:2025.10.08
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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