作成日
:2025.09.26
2025.09.26 18:14
ここ最近、ゆうちょ銀行やSBI新生銀行によるデジタル通貨「DCJPY」の導入検討が報じられ、SNS等で話題になっています。一方、海外FXとの国内銀行送金リスクが高まっていることもあり、海外FXユーザーの間では日本円ステーブルコイン「JPYC」への期待も高まっています。
海外FXトレーダーの中にはDCJPYとJPYCの違いや、どちらが海外FXの入出金問題を解決する手段となり得るのか、気になる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、DCJPYとJPYCの特徴や違いを比較し、海外FXトレーダーにとってどちらが現実的な選択肢となるのかを解説します。
2025年8月31日、ゆうちょ銀行が2026年度からデジタル通貨「DCJPY」の発行を計画していると報じられました。同行はデジタル証券(セキュリティトークン)の取引や、自治体による給付金の受け取りなどでの活用を構想しています。
SBI新生銀行もDCJPYの導入検討を発表しており、国際的な決済プラットフォームと連携してトークン化預金での外貨取り扱いも視野に入れるなど、法人向けやグローバルな展開も目指しています。
国内大手のゆうちょ銀行やSBI新生銀行による導入が報道されたことで、DCJPYに大きな注目が集まっています。
DCJPYとは、銀行預金をブロックチェーン技術を使ってデジタル化した「トークン化預金(デポジット・トークン)」です。
画像引用:DeCurret
DCJPYの発行主体は銀行で、その価値は「1DCJPY=1円」となり、会計上は銀行預金と同様のものとして扱われます。預金保険制度の対象であり、金融機関の破綻時に保護される点も大きな特徴です。
DCJPYは、ディーカレットDCP社が提供する「DCJPYネットワーク」を基盤としており、金融機関などの許可された参加者のみが利用できる「パーミッション型」のブロックチェーン上で運用されます。
また、DCJPYはブロックチェーン技術を活用した「プログラム可能なお金」としての機能も持っています。これにより、単なる決済にとどまらず、あらかじめ設定された条件に基づいて支払いを自動実行するなど、ビジネスの高度化にも貢献すると期待されています。
一方のJPYCは、JPYC株式会社が発行予定の日本円に価値が連動する「ステーブルコイン」です。
画像引用:JPYC
ステーブルコインとは、価格の安定性を確保するため、特定の資産と価値が連動するように設計された仮想通貨のことです。仮想通貨は価格の上下動が激しいため、決済手段として実用性に課題があります。その課題を解決するためにステーブルコインが開発されました。
2025年8月18日、同社は資金決済法に基づく「資金移動業者」として登録が完了し、円建てステーブルコインの発行が可能な事業者となりました。
JPYCは、法的には「電子決済手段」に位置付けられます。ブロックチェーン技術を活用するため、24時間365日いつでも低コストで迅速な送金が可能です。
価値は日本円と連動する設計になっており、JPYC発行残高の101%以上を預金・国債で保全する仕組みとなっています。また、利用者が自身のウォレットで資産を管理する「ノンカストディ型」を採用している点も大きな特徴です。
なお、JPYCの発行や償還は「JPYC EX」というサービスを通じて行われるとされています。
画像引用:岡部典孝氏note
すでに一部のクレジットカードでは利用代金返済にJPYCを利用できる見込みであるほか、将来的にコンビニでの決済対応を目指す動きも発表されるなど、実用化に向けた準備が進んでいます。
では、DCJPYとJPYCは具体的に何が違うのでしょうか。両者の特徴を比較してみましょう。
比較項目 | DCJPY | JPYC |
---|---|---|
発行主体 | 銀行 | JPYC株式会社 |
日本での法的性質 | 銀行預金 | 電子決済手段 |
価値の裏付けと保証 | 銀行預金と同等で、預金保険制度の対象 | 発行額以上の資産保全が義務付けられ、資金決済法に基づき利用者を保護 |
技術基盤 | パーミッション型(許可型)ネットワーク | パブリックブロックチェーン |
外部ウォレットとの互換性 | なし | あり |
主な用途 |
ビジネス上の決済
デジタル証券の売買
給付金支給など |
各種送金・決済
NFT購入
DeFiでの資産運用など
|
海外FXへの送金 | 不可 | 可(*1) |
DCJPY
発行主体 |
銀行 |
日本での法的性質 |
銀行預金 |
価値の裏付けと保証 |
銀行預金と同等で、預金保険制度の対象 |
技術基盤 |
パーミッション型(許可型)ネットワーク |
外部ウォレットとの互換性 |
なし |
主な用途 |
ビジネス上の決済、デジタル証券の売買、給付金支給など |
海外FXへの送金 |
不可 |
JPYC
発行主体 |
JPYC株式会社 |
日本での法的性質 |
電子決済手段 |
価値の裏付けと保証 |
発行額以上の資産保全が義務付けられ、資金決済法に基づき利用者を保護 |
技術基盤 |
パブリックブロックチェーン |
外部ウォレットとの互換性 |
あり |
主な用途 |
各種送金・決済、NFT購入、DeFiでの資産運用など |
海外FXへの送金 |
可(*1) |
(*1)JPYCを発行後、USDTなどの仮想通貨に交換した上で海外FX業者の口座に送金できると考えられます。
DCJPYは、企業等が自社のサービスに組み込んで利用する「デジタル化された銀行預金」だといえます。ビジネスにおける決済や不動産の小口投資、行政による給付金の支給、さらにはクリエイター支援といった幅広い分野での活用が想定されています。
一方、JPYCは誰もがインターネット上で自由に使えるステーブルコインです。パブリックブロックチェーン上で発行・流通しているため、そのオープンな特性を活かした幅広い用途が期待されています。具体的な使い道としては、個人間送金やDeFiでの運用だけでなく、ビジネス上の決済などへの活用も見込まれます。
また、ウォレット間で自由に送金が可能なため、海外FX業者との入出金といった用途への活用も期待されます。
国内銀行送金のリスクが高まる中、海外FXとの入出金手段の一つとしてJPYCの活用が考えられます。では、JPYCを海外FXの入出金に使うと、従来の仮想通貨(暗号資産)送金と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。
現在主流となっている仮想通貨での入出金方法と比べると、JPYCには以下のようなメリットがあると考えられます。
海外FXへの一般的な仮想通貨送金では、「国内取引所で仮想通貨を購入→海外取引所(もしくはウォレット)へ送金→USDTなどに交換→海外FXへ送金」といった複数のステップが必要です。
しかしJPYCを使えば、ウォレットに発行されたJPYCをUSDTなどに交換し、海外FXに送金するだけで済むと考えられるため、手順を大幅に簡略化できます。
従来の送金方法では、国内取引所で購入した仮想通貨(XRPなど)の価格が、海外取引所への送金やUSDT等への交換の過程で変動してしまうリスクがあります。
一方、JPYCは円の価値に連動するため、USDTなどに交換するまでの間の価格変動を気にする必要がありません。
JPYCが正式にリリースされた後、海外FXへ入金する際のフローは以下のようになると考えられます。
出金時はこの逆の手順を踏むことで、海外FX口座の資金を日本円として手元に戻すことができると考えられます。
海外FXへの新たな送金手段として期待されるJPYCですが、利用にあたってはいくつか注意点もあると考えられます。
JPYCの発行・償還手数料は当面無料とされています。しかし、ブロックチェーン上でのトランザクション手数料(ガス代)はユーザー負担となります。
多くの海外FX業者では、仮想通貨入出金にUSDTやUSDCなどの米ドルステーブルコインが利用されています。そのため、海外FX業者がJPYCでの入出金に対応しない限り、USDTなどに交換してから送金するという手順が必要になると考えられます。
当記事執筆現在(2025年9月25日)、仮想通貨同士の交換時や日本円への換金時に利益が出ると、その利益は課税対象となります。取引の履歴や時価を記録しておくなど、損益計算の準備が必要です。
JPYCを活用した海外FXの入出金については、以下の記事で詳しく解説しています。
DCJPYは将来の金融インフラとしての役割が期待される一方、海外FXユーザーが利用できる送金手段にはならない可能性が高いと考えられます。
国内銀行送金のリスクも高まる中、代替手段を探す海外FXユーザーの注目は必然的にJPYCへと向かうことになるでしょう。ステーブルコインJPYCは今後、海外FXの入出金に活用できる可能性があるため、その動向には注目しておくとよさそうです。
作成日
:2025.09.26
最終更新
:2025.09.26
2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。
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