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フィリピン、仮想通貨の発行に関する新しい規制を発表

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update 2021.08.31 15:27
フィリピン、仮想通貨の発行に関する新しい規制を発表

update 2021.08.31 15:27

資金公募の額に応じて規制を3段階に分類

フィリピンの行政機関であるCagayan Economic Zone Authority【以下、Cezaと称す】は、ユーティリティトークンやセキュリティトークンなどを含む、仮想通貨の発行に関する新しい規制を発表した。[1]Cezaによると、この新しい規制は、仮想通貨市場を統制すると同時に、投資家保護や仮想通貨市場のイノベーションを促進する目的があるという。

Digital Asset Token Offering【以下、Datoと称す】と題されたこの規制は、ICO(イニシャルコインオファリング)などで仮想通貨を提供する企業に向けたガイドラインとして、明確な基準やアドバイスを提示する役割を持つ。Datoが示すフレームワークの下、トークンのリスティングを実施するためには、当局からライセンスの発給を受けたOffshore Virtual Currency Exchange【以下、OVCEと称す】を通す必要があり、加えて、企業がトークンを発行する際は、政府が認可するウォレットサービスもしくはカストディアンと事前に取り決めを交わさなければならない。また、この規制では、資金公募の額によって異なる区分が設けられており、500万ドル以下のTier1、600万ドルから1,000万ドルの範囲となるTier2、1,000万ドル以上のTier3と、3段階に分けられているとのことだ。

フィリピン政府の国有企業でもあるCezaのCEO、Raul Lambino氏は、Datoについて以下のような見解を示している。

明確なルールやガイドラインを提示することで、イノベーションを加速させると同時に、適切なコンプライアンス基準の確立が促進されることを期待しています。この規制をきっかけに、金融機関や金融システムにおいて、ブロックチェーンや仮想通貨の普及が進むことを願っています。

Raul Lambino, CEO of Ceza - VietNam Newsより引用

関係者によると、Cezaは、自主規制団体のAsia Blockchain and Cryptocurrency Association【以下、Abacaと称す】との連携を強めており、これに関してLambino氏は、第三者機関や専門家の関与は、この規制の執行をより確実なものとして、投資家保護と市場の透明性向上につながると述べている。一方、Abacaの会長であるJuanita Cueto氏は、仮想通貨の発行を試みる企業にとってDatoの規制は厳格なものになることが予想されているものの、自主規制団体の貢献が市場の安全確保と投資の拡大をもたらすことになるとコメントしている。Abacaは、規制を執行する立場にある機関で、メンバーの行動規範を設定したり、OVCEの違反や不法行為をCezaに報告する役割を担っているという。

金融分野でのテクノロジーの開発に向けて、これまで19の仮想通貨取引所を承認したCezaによると、新規制が企業に対し、責任をもってテクノロジーを利用することを促進させ、フィンテック企業と各業界による国内市場の発展を目指すことにつながるとみているようだ。現在、各国政府は、仮想通貨の投資家を対象に締め付けを強める傾向にあり、欧州に加えて日本、マレーシア、オーストラリアなどの地域では、マネーロンダリングや詐欺などの違法行為が懸念され投資家保護の強化に取り組み、仮想通貨に対して慎重な規制を課している。自由な経済やプライバシー、自律性を重んじる仮想通貨の本質とは、逆を行く発想になっているが、フィリピン当局はこれをどう捉えているのだろうか。

release date 2019.02.07

出典元:

ニュースコメント

仮想通貨大国としての発展を目指すフィリピン

Lambino氏は、Cezaが執行業務を担当するカガヤン州経済特区を、仮想通貨業界で世界の中心地となるようなクリプトバレーとして発展させることを望んでいるようだ。昨年8月、このカガヤン州経済特区を訪れたRodrigo Duterte大統領も、フィリピンは仮想通貨大国を目指す方針だと言及している。同年9月にフィリピンでは仮想通貨取引の新規制導入が発表され、投資家保護と同時に仮想通貨による新しい経済環境の確立につながることが期待されており、国内では仮想通貨に対し新しい経済圏として肯定的に受け止められている。こういった経緯もあり、フィリピンは今、仮想通貨業界で最も注目が集まる市場となっていて、世界中の仮想通貨関連企業が進出しているという。昨年10月には、香港の取引所2社とタイの取引所1社が経済特区内でのライセンスを取得したことが伝えられている。これらの企業は、政府に免許費や申請費などで10万ドル以上の恩恵をもたらしているだけでなく、今後2年間で100万ドル以上の投資を行うことが義務付けられており、フィリピンおよびカガヤン州経済特区の発展に大きく貢献することが予測される。今後もアジアを中心とした多くの企業の誘致が計画され、継続的な発展が期待できるだけに、フィリピン市場の動向には注目していきたい。


Date

作成日

2019.02.07

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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