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2018年、仮想通貨盗難の総被害額が前年から400%増加

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update 2021.08.31 15:27
2018年、仮想通貨盗難の総被害額が前年から400%増加

update 2021.08.31 15:27

被害総額17億ドルの約4割が出口詐欺に関連

米国のサイバーセキュリティ企業であるCipherTrace, Inc.(本社:68 Willow Road, Menlo Park, CA, 94025[1])【以下、CipherTraceと称す】が発行した最新の報告書によると、2018年に仮想通貨取引所や投資家から不当に盗難された仮想通貨の被害総額は17億ドルを記録しており、前年から400%も増加していることが明らかとなった。[2]今回の報告は、CipherTraceが、詐欺やハッキングなどの仮想通貨市場におけるサイバー犯罪に焦点を当てて実施した調査の結果に基づくものだという。

CipherTraceの報告では、2018年の被害総額17億ドルの内、約9億5,000万ドルが取引所をターゲットとした犯罪によるものだとされ、2017年と比較するとその数字が3.6倍に跳ね上がっていることがわかっている。主な要因として、日本と韓国が取引所被害全体の58%を占めることに触れられており、最も犯罪の影響を受けた市場であるとの指摘がある。また、この分類とは別に、詐欺的なICO(イニシャルコインオファリング)やピラミッドスキーム(ネズミ講)など、出口詐欺に関連する被害についても言及があり、昨年に記録した7億2,500万ドルの被害額は、前年の5,600ドルから飛躍的な伸びとなったことが報告されている。今回、公開された情報に含まれるのは、CipherTraceが検証できたケースのみで、本来の被害額はもっと大きい可能性もあるという。

CipherTraceの調査結果を基にした統計は、仮想通貨に関連するサイバー犯罪の手口が、取引所を狙ったものから、仮想通貨関連企業に関わりがある内部の人物による犯行へと比重が推移していることを示唆している。また、CipherTraceによると2018年の第1四半期は、ハッカーによる取引所を対象とした犯罪が優勢だったが、第4四半期は反対に詐欺的な行いや内部関係者の犯罪が多かったという。このことから、CipherTraceは、取引所が標的とされやすくなるのは、仮想通貨の価格がドル基準で上昇する時であり、価格の上昇がより洗練された手口で攻撃を仕掛けるサイバー犯罪者の増加につながっている見解を示している。2018年は、仮想通貨価格が大幅に下落したことで、市場全体の時価総額も、ピーク時の1,120億ドルから、2019年1月現在までにおよそ80%減退しており、それに合わせて、犯罪の傾向にも変化があったようだ。

2018年の結果を受けて、CipherTraceは、主要な仮想通貨市場を抱える政府が統制を図るために規制強化に動き、2019年末を目処に厳格な規制が導入されることを予測しているようだ。このことについて、CipherTraceのCEOであるDace Jevans氏は、以下のようにコメントしている。

仮想通貨関連の犯罪は、継続しているだけではなく、形を変えて加速しています。しかし、幸運なことに、現在検討が進められている新しい規制は、世界中の犯罪集団やテロリストの資金洗浄の手口などを制限するものとなるでしょう。

Dave Jevans, CEO of CipherTrace, Inc. - Business Wireより引用

Jevans氏は、仮想通貨の犯罪利用が減少することを期待しながらも、これらの厳しい規制が全てを解決するわけではないことも暗示しており、過去のリサーチ結果から、規制の施行は、新しい手口での犯罪を促進するだけではなく、不十分な行政監視が問題となるという懸念点も指摘している。それでも、CipherTraceは報告書を通して、仮想通貨の脅威や仮想通貨にまつわる潜在的なリスクを紹介するなど、犯罪への意識を高める様、ユーザーに注意を促しているようだ。

release date 2019.01.31

出典元:

ニュースコメント

法整備による規制強化が望まれる日本の仮想通貨市場

仮想通貨関連の犯罪は2019年に入っても勢いが衰える気配はなく、報告されているだけでも、Gate.ioやコインベースのイーサリアムクラシックのハッキング事件や、2度に渡るウォレットへの攻撃で1,600万ドル以上の被害を出したCryptopiaのハッキング事件が例として挙げられる。幸いなことに、2018年における被害額の甚大さが指摘されている日本では、未だ目立った仮想通貨関連犯罪の発生は報告されていない。今年のここまでの経過を見ると、金融庁を中心に国内市場の統制が取れている様な印象を受けるが、肝心な法律の整備という観点ではまだまだ対応が必要とされている。2019年、金融庁は、詐欺の危険性が高いICOを排除することを視野に入れ、通常国会で資金決済法と金融証券取引法の改定を議論する構えで、その他に議論されている規制に関しても一連の法案で実現することを目指しているという。日本の仮想通貨市場にとって、2018年は悪夢のような年となったが、2019年は、飛躍の年となることが期待されている。


Date

作成日

2019.01.31

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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