Select Language

ESMA、CFDのレバレッジ規制については言及せず

ESMA、CFDのレバレッジ規制については言及せず

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.27 17:52
ESMA、CFDのレバレッジ規制については言及せず

update 2022.01.27 17:52

CFDのレバレッジ規制は引き続き延長される見通し

先週、欧州の規制監督当局である欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、個人投資家向けに定めた新規制であるバイナリーオプション取引の禁止を3ヶ月間延長することを発表した[1]が、先週ESMAが発表した内容には、CFDのレバレッジ規制に関するコメントがなく、業界内では様々な憶測が飛び交っている。

新規制は、3ヶ月毎に見直されることになっており、介入の範囲や内容などを検討した上で、さらに期間が延長される可能性もあるとしていたため、バイナリーオプションに関しての決定自体は、驚くべきことではないものの、業界内では、8月1日よりリテール顧客を対象に導入されたCFDのレバレッジ規制に関して、何らかのコメントが行われることが期待されていたようだ。

なおバイナリーオプションとは、あらかじめ決められた金額を満期日に差金決済するオプションをいう。また、CFD(Contract for Difference)とは、証拠金をベースとして現物株、指数、先物、通貨などを取り引きすることができる投資商品であり、差金決済により売買を行う取引のことである。

ESMAが主導するレバレッジ規制は、これまでも業界内で広く議論され賛否両論様々な声が挙がっており、当局からの正式な発表が待ち望まれていた。しかし、近年の複雑なルールを伴う規制策を鑑みるとESMAが規制の手を簡単に緩めるとは考えられず、さらにESMAが長期間に渡り検討を行った末に導入を決定した規制をたった3ヶ月間だけで終わらせる理由はほとんど見当たらない。むしろ考えられることは、CFDレバレッジ規制に関して期間延長を見込んでいるだけではなく、より広範囲の欧州全域にわたる金融規制の枠組み構築のためのきっかけとするのではないだろうか。

元々、規制当局によるレバレッジ規制は、高いリスクを伴うCFDやバイナリーオプション取引を行った顧客の約80%が資金を失っているという収益性に対する懸念が理由であり、加えてブローカーによる詐欺や違反行為が目立ってきたことを踏まえ、ESMAは投資家保護や安定した金融市場の推進を図るために監督業務を強化していく方針を掲げた。

以前は、レバレッジを最大でも100倍とし、スプレッドを広く設定するブローカーが一般的であったが、市場の成熟に伴い、競争が激化し、多くの新規参入業者が狭いスプレッドを提供するようになった。これに対してブローカーは薄利となることを避けるため、今度はレバレッジを高く設定するようになった。勿論これはすべてのブローカーが同様の戦略をとるわけではないものの、たとえば、最大500倍のレバレッジが一般化してしまうと、投資初心者やギャンブル好きにとってとてもリスクの高い取引となってしまうのである。また、元々そうでなかったとしても、リスクを顧みずレバレッジ500倍の魅力だけに取りつかれてしまうと、丁半張ったの世界であるギャンブラーのような投資行動をしてしまう可能性がある。一方で、顧客がハイレバレッジで取引を行うと、ブローカーとしては利益があがる。そのため、規制当局は投資家保護を目的に様々な対応策を講じており、現在は顧客自身もハイレバレッジで取引を行うことが資金を失う主な要因であることを認識し始めているようだ。

また、ESMAはレバレッジ規制や、バイナリーオプション取引の禁止以外ににも新規制の下、ブローカーへトレーダーの損益割合のデータ開示を義務付けている。ESMAの新規制については、様々な意見が飛び交っているが、海外FXブローカーにとっては厳しい内容のため、各ブローカーは存続のため対応に追われている毎日だろう。

release date 2018.9.4

出典元:

ニュースコメント

ESMAによる規制強化の背景

欧州では規制当局によるブローカーへの監視がますます厳しくなっている。規制強化の背景として、未登録ブローカーの急増によりライセンスを保持するブローカーらによる違法行為が増えたことによる投資家の被害増加が挙げられ、規制当局は既存の規制では投資家保護が不十分であるとの見解を示し投資家のリスクを最小限に抑えるべく動き出した。欧州においては、今年から導入されている第二次金融商品市場指令(MiFID II)にてESMAの権限が拡大され、これに伴い、ESMAはバイナリーオプションの禁止をはじめ、レバレッジの引き下げやゼロカットシステムの適用などの様々な新しい規制を検討しだし、今年8月にはバイナリーオプション取引禁止とリテール顧客に対するCFDレバレッジが最大30倍に制限された新規制の導入が正式に発表された。このような欧州における規制強化によって、すでに欧州を拠点とするブローカーらは別のマーケットへ移行するなどの新たなビジネスプランを模索し始めており、今後欧州市場はFX・CFDブローカーにとって魅力的なマーケットではなくなっていく可能性が考えられる。


Date

作成日

2018.09.04

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

もう国内銀行送金は使えない?法改正で海外FXトレーダーを直撃する3つの入出金リスク

資金決済法の一部改正により、海外FXユーザーの間で、当たり前のように利用されてきた国内銀行送金による入出金が使えなくなる可能性が浮上しています。法改正が海外FXに与えるリスクと現時点で考えられる対策を説明します。
update2025.07.01 19:00

Exnessの出金方法から銀行振込が一時削除!?現在は復旧も今後は代替手段の検討が必要か

2025年8月、Exnessの出金方法から一時的に国内銀行振込が削除され、オンラインウォレットと仮想通貨のみ利用可能な状態となりました。現在は復旧していますが、今後のトラブルに備えて、代わりの決済方法の準備を検討するのが望ましい状況です。
update2025.08.06 19:00

海外FX利用で国内銀行口座の凍結が増加?法改正後の入出金リスクとは

SNS上で海外FXユーザーの銀行口座が凍結されたことが話題になっています。本記事では、SNSで話題の凍結報告の背景を説明するほか、海外FX業界に迫る「本当の入出金危機」と今後の備えについて解説します。
update2025.07.09 19:00

【当サイト限定】FXONの口座開設でボーナス15,000円をプレゼント!既存ユーザーも対象

2025年8月1日より、FXONでの口座開設で15,000円のボーナスを獲得できる、当サイトMyforex限定のキャンペーンがスタートしました。この記事では、ボーナスの受け取り方法や注意点などを説明します。
update2025.08.01 19:30

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2025.06.10 20:00

Vantage Tradingで出金拒否やトラブルが多発中?SNSで報告相次ぐ原因とは

Vantageで原因不明の出金拒否が、多数発生している声を取り上げていきます。Vantageで出金拒否が発生する理由や実際にVantageへ問い合わせた際の回答などもあわせて紹介していきます。
update2025.05.16 19:00

SBI VCトレードからBybitに送金してみた!手数料や送金時間も解説

Myforex編集部では、国内取引所のSBI VCトレードからBybitに仮想通貨を送金してみました。本記事では、送金手順や手数料、送金時間などを紹介します。
update2025.06.11 19:30

MT4初心者必見!FX自動売買EAバックテストのよくあるトラブルと対策集

バックテストをした際にEAを選択できない、途中でテストが止まる、結果が安定しないなどの症状が発生することがあります。本記事では、バックテストをした際に発生する症状別に対処方法を解説します。
update2025.05.13 19:00

ThreeTrader・Vantageが消えた?偽アカウントによる詐欺に注意

ThreeTraderやVantageのX(旧Twitter)公式アカウントに表示制限がかけられていることが確認されました。本記事では海外FX業者のアカウントが制限された背景や、こうした状況で注意すべき偽アカウント詐欺について説明します。
update2025.07.04 19:00
口座開設で15,000円のボーナス 口座開設で15,000円のボーナス

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル